公益通報者保護法の問題点 簡易版
 簡易版を読んで頂いた後はより理解を深めるため。詳細版をいち読頂ければと考えます。 
注意−公益通報制度と公益通報者保護法は両輪をなすものですが、公益通報者保護法は、公益通報の趣旨、理念を公益通報者保護の観点で規定された法律です。

1.公益通報者保護法は保護される範囲を明確化する為に各要件を規定しているが、法文自体が一般人には理解しがたい内容となっ
  ている。

2.公益通報者として保護される対象者は現役の労働者であり。退職者、役員、取引先事業者は公益通報者としての保護から除外さ
  れる。

3.公益通報における通報対象事実の発生時期に まさに生じようとしている などの曖昧な規定が含まれており、判断が困難になると
  ともに、通報対象事実の発生時期を制限している。

4.公益通報先は、労務提供先、行政、一定の要件下で外部事業者(報道機関など)に対する通報が許されている。しかしながら公平
  性、中立性が担保された第三者機関、あるいは専門の部門が設立されていない。
この為、公益通報を行おうとする者は、特
  に行政が信じれれ無い場合などは公益通報自体を躊躇することとなる。

5.行政が公益通報の情報を漏洩した場合、公益通報を妨害した場合などに対する罰則規定などが無い。

6.外部事業者(報道機関など)に対する公益通報の保護要件が厳格すぎる。

7.公益通報対象事実は、現行法上、罰則規定を有する法律違反に限られる。従って、公益通報対象事実が社会的影響が甚大で
  悪質性が高いなどの重大事案であっても、該当する法律に罰則規定がなければ公益通報となり得ない。

8.公益通報を妨害されたとき、労務提供先(勤務先)から解雇、契約解除、不利益処分を受けた場合労務提供先に対する罰則がな
  いため、
公益通報者に対する公益通報者保護が有名無実となっている。

9.解雇などの不利益処分が行われた場合、公益通報者は訴訟を行うなどの方法で救済、対抗策を講じなければならない。公益通
  報者の心理、経済問題を考えれば、実質的に公益通報をおこなうことは困難になる。

10.訴訟に至った場合などは通報対象事実に対する、信じるに足りる相当の理由、時間的制限の要件(まさに生じようとしているなど)
  、外部 事業者に対する厳格な各要件に対する立証が困難となる可能性が高い。

11.行政に対する公益通報の場合、行政がとるべき措置において、明確な時間制限、措置が何ら規定されていない。

12.公益通報が不受理となった場合、現行法上では通報対象事実の社会的影響が大きく、違法性、悪質性が高い事案でも調査命令、
   代替措置などを規定していない。従って行政の不作為などによる公益侵害に対しては無力である。(前掲5参照)

13、公益通報においては、匿名での公益通報も認められている(禁止規定や明確な規定はない)公益通報の性質上、匿名による
    公益通報は広く門戸を開放するべきであるが、調査、報告に支障を来す事は否めない。益通報の性質と公益通報者保護の観点
    から、匿名による公益通報に対する規定を詳細に規定すべきである
   
14.労務提供先が公益通報の際に行うべき調査、是正、行政に対する報告義務の規定などのはない。公益通報者保護法に、公益を
    侵害する事実が認められた場合における、適正調査義務、行政による調査に対する協力義務などを規定すべきである。